認知バイアスとはごく簡単に言うと「脳の勘違い」のことです。
失敗して後から「ああ~わかってたのに!」と思ったり、大きな地震のニュースを見ても「まぁうちには来ないだろう」と思ったりしたことはありませんか?
実はこれらは、「まったく合理的ではない脳の勘違い」であることが珍しくないのです。
認知バイアスの意味
冷静に考えるとまったく合理的ではないのに、脳の自然な反応として生じてしまう判断ミスのこと
人間が意識しないうちに勝手にしてしまう勘違いのことをまとめて「認知バイアス」と読んでいるわけですが、大事なときに認知バイアスで判断を誤ってしまうと、ときに大変なことになってしまうかもしれません。
この記事では、認知バイアスが生じる仕組みや、具体的な事例について簡単にわかりやすく説明します。
認知バイアスを避けるための方法についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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認知バイアスの意味とは?単なる思い込みとはどう違う?
認知バイアスとは先程も言いましたように脳の勘違いのことです。
ちなみにバイアスは「かたより」という意味です。
例えば、つぎの2つの文章を読んで、あなたはどう感じるでしょうか。
①はなんとなくけしからん感じがしますが、②ではなんとなく「がんばっている子」というような感想を持たれませんでしょうか。
しかし、①と②は客観的な事実としてはまったく同じです。
客観的事実としてはまったく同じことなのに、表現のされ方しだいで①は良くて②はダメ、というように脳が判断してしまうようなケースを、認知バイアスというのです。
単なる思い込みとは違って、自分の意思とは関係ないうちに脳が勝手に間違ってしまうという点が重要です。
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認知バイアスが起きる理由
このような反応は、脳が物事を判断するときに行っている膨大な情報処理を一部省略するようにできているから起こると言われています。
脳も一から十まで全部のことを考えていたら疲れてしまうので、ある程度は経験と慣れで省いてしまおうということですね。
ですがこれもまだ予想の段階ではっきりとした原因はわかっていません。
これからご紹介する認知バイアスの例は、どれも心理学実験によってきちんと偶然ではなくはっきりとした傾向だと証明されています。
でも心理学者が実験が発見したことを脳科学の人達が原因解明することは、時間と協力が必要な難しい作業というわけですね。
認知バイアスはどう役に立つ?
認知バイアスは裁判などでの証言や、陪審員制度や裁判員制度のような制度を使うときに最も注意深く危険視されます。
認知バイアスによる勘違いが裁判に関わる人の一生を大きく左右してしまいかねないからです。
逆に陪審員や裁判員の同情を誘いたい弁護士や検事はもちろんこの認知バイアスを巧みに利用しようと常に策を巡らせています。
裁判のような重大な場面ですら認知バイアスは時に上手く利用され、大きな影響を及ぼすことがあります。
他人に利用されないために、ときには大切なものを失わないために、自分の認知バイアスにひとつでも多く気付けるように気を付けることが小さな幸せを逃さないようにするための地道な一歩と言えるでしょう。
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認知バイアスの種類一覧【行動経済学による分類】
認知バイアスの量は100を軽々と越えてしまうほどあって、全てを紹介するととんでもない量になってしまいますので、その一部をご紹介しましょう。
マメ知識から常に心に留めておきたいものまで幅広く紹介しますので、「ああ、確かにこういうことってあるなあ」と自分に当てはまるものを見つけていただけると幸いです。
またこれらは絶対にそうなるというものではなく、そういう傾向が強い、そうなる確率が高いというものですので、その点にはお気を付けください。
ハロー効果
目立つ特徴で物事を判断してしまいがちな傾向のことを言います。
実際に裁判などでもイケメンや美人の方が刑が軽くなる傾向があるというデータもあります。
確証バイアス
先入観を持って物事を見ると、その先入観を補強する情報ばかりを集めてしまう傾向です。
恋は盲目と言いますが、好きな人を見ているときには短所は見えづらく長所ばかりを記憶してしまうものです。
正常性バイアス
地震や台風などが自分の元には来ないと思い込むことで、恒常性バイアスともいいます。
実際自分が雷に撃たれたり殺人事件に巻き込まれたりなんて想像もつきませんよね。
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バンドワゴン効果
多人数の判断は自分の判断よりも信頼できると思ってしまうことです。
選択に迷って家族に相談したら家族が全員自分じゃない方を選んだからそっちにした、とかありませんか?
プロスペクト効果
プラスのときは堅実に、マイナスのときは大胆に行動したくなることです。
分が悪い賭けでも当たりが大きいと負けているときは乗ってしまうということですね。
自己奉仕バイアス
失敗したときに「自分ではどうしようもなかった」と思う傾向のことを言います。
認知バイアス的には人間の脳は「他人に厳しく自分に甘い」ので、気を付けないとあっという間に自分勝手な人間になって信頼を失ってしまうでしょう。
いかに衝動を抑えて理知的に行動できるかが心の強さとも言えます。
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後知恵バイアス
起こったことに対して予測できたと思い込むことを言います。
自分も予測できなかったのに、失敗した仲間に「どうしてそんなことも予測できなかったんだ」などと言ってしまわないように気を付けなくてはなりません。
何故なら脳はストレスに弱く常に自分を守るようにできていて、こういう言葉を言いたがるようにつくられているからです。
失敗が重くストレスが大きい程こうした言葉は出やすいですが、その分取返しもつかなくなりがちです。
フレーミング効果
データや数字が同じ意味でも見せ方で印象が違って見えることを言います。
最初の大学生の風俗嬢の例もこれに当てはまります。
定価の80%で販売!と、定価の20%オフで販売!だと20%オフの方が安そうに見えませんか?
マーケティング界隈だとこういった些細な表記にもかなり気を遣っているそうです。
バーナム効果
あいまいな情報なのに、それが自分にだけ当てはまる正確なものと思い込むことです。
占い師はよく「何かお悩みがありますね?」と最初に言うと言われますが、それはこのバーナム効果を利用した例のひとつです。
このとき、言われた私達の方は悩みくらい誰にだってあるということを忘れて、占い師の力を信じてしまいそうになるのです。
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根本的な帰属の誤り
人間の行動に、周囲よりもその人の性格などの方が影響していると考えてしまう傾向です。
「遅刻します」と連絡があったときに、「この人はだらしないから遅刻したのだ」とは思いやすくとも、不慮の事故やアクシデントに巻き込まれたとは思いづらいということですね。
リスキーシフト
集団だと普段はしないような行動に便乗してしまったり、とがめづらいことをいいます。
その場の空気に水を差して多人数から批難されるかもしれないと思うとどんな行動でも止めに入るには勇気がいりますよね。
問題になったハロウィンでの迷惑行為も、普段ならそんなことはしなかったのにという人は少なくないはずです。
環境や周りの人が人の行動に及ぼす効果は思ったよりも大きいことを知っておきましょう。
コンコルド効果
引くに引けず辞められなくなってしまうことを言います。
これは明らかに赤字なのはわかっていたのに既に大量にお金をつぎ込んでしまっていたせいで止めるに止められなかった拘束旅客機コンコルドに由来したネーミングだそうです。
自分がいざその立場になったらと思うと、やめる決断をするのは難しそうです……。
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ヒューリスティック
これは意思決定を怠けてサボってしまう傾向のことを言います。
経験則、テンプレート、最近のデータなどに頼って深く物事を考えずに決断してしまいがちであるという傾向のことを言います。
ダニング・クルーガー効果
能力が低い人ほど自己評価が高い傾向を指します。
自己評価と能力は釣り合わないように人間はできている、と言われると少し意外に感じませんか?
でもそれが事実だったりするのです。
>>ダニング・クルーガー効果についてはこちらでくわしく解説しています
外部誘因バイアス
自分の動機は純粋だが他人の動機は不純であると思いがちである傾向のことを言います。
仕事を頑張っている同僚に「あいつは金が欲しくてやっている」とか「あいつは上司に気に居られたくて表面だけ頑張っている」と感じてしまいがち。
なのにいざ自分がお金のために頑張ることになっても「自分は仕事に真剣に向き合って真面目に働いているんだ」と思いがちだということです。
脳は自分をストレスから守るために自分を高く、他人を低く評価しがちです。
信念バイアス
結果が正しければ過程も全て正しいと思い込むバイアスのことです。
逆もまた然りで結果がダメだと過程も全て否定してしまうため、他人の頑張りや良かったところを私達は否定してしまいがちにできているということになります。
そう思うと、脳にはもうちょっとしっかりしてくれよと言いたくなりますよね。
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まとめ
今回は「脳が自然に犯してしまう勝手な勘違い=認知バイアス」についてお伝えしました。
自分にも経験があるという認知バイアスは見つけられましたでしょうか。
何度もお伝えしましたが、私達の脳は「自分を上に、他人を下に」置こうとします。
これは性格が悪いとかではなく、人間の脳がそういう風にできているのです。
ストレスが大きくかかる重大な場面でこそ強い力を発揮してしまう認知バイアス。
そんなとき自分の弱い心に打ち克ち後から後悔しない判断ができるかは、普段の心がけ次第です。
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