「サイコパス」とは、正式には「反社会性パーソナリティー障害」という心の病気の人のことをいいます。
この記事では、サイコパス(反社会性パーソナリティー障害)の具体的な特徴や症状についてくわしくわかりやすく解説します。
精神医学や心理学に興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
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サイコパスの意味
上でも少し説明しましたが、「サイコパス」とは、反社会性パーソナリティー障害という精神障害のある人のことをいいます。
サイコパスの意味
- サイコパス=反社会性パーソナリティー障害(正式な名前)
ここで「反社会性パーソナリティー障害」という新しい言葉が出てきましたが、「え、何、難しそう」という感じで意味がわからないですよね。
なので、まずはパーソナリティー障害とは何なのか?についてご説明したいと思います。
※「反社会性」パーソナリティー障害ではなくて「普通の」パーソナリティー障害です。
というのも、パーソナリティー障害には反社会性パーソナリティー障害の他にもいろんな種類があるのです(〇〇パーソナリティーというものがたくさんあります)
パーソナリティー障害には、サイコパス以外にもいろいろある
- 反社会性パーソナリティ障害(=サイコパス)
- 回避性パーソナリティー障害
- 妄想性パーソナリティー障害
- 強迫性パーソナリティー障害
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つまり、反社会性パーソナリティー障害(サイコパス)はたくさんあるパーソナリティー障害のひとつということですね。
次の項目では、反社会性パーソナリティー障害(サイコパス)の意味について理解するために、まずはパーソナリティー障害の意味を理解しておきましょう。
>>サイコパスの具体的な特徴から知りたい人はこちらをクリック
「普通の」パーソナリティー障害とは?
誰でも日常生活で「この場所は自分に合ってないな、いごこちが悪いな」と思う事があると思います。
静かな場所が好きなのに家がいつもとても賑やかだとか、友達グループの中で自分が浮いているような気がするとか、そういう感覚ですね。
これをものすごく極端に感じてしまう人たちの症状が、パーソナリティー障害です。
さっきの例で言ったら、ちょっとくらい静かな場所が好きな人は特に問題ありませんよね。
これが「ちょっとした物音でとてもイライラしてしまい、家族に暴力を振るってしまう」になるとパーソナリティー障害です。
ほんの少しの物音で暴力を振るってしまうほどイライラしてしまうのは、ちょっと普通とは言えませんよね。
このように過激な行動が出てしまったり、体調が悪くなってしまう感じ方をしてしまったりする場合、さらには普通の人から考え方が大きくかけ離れてしまっている状態のことを、パーソナリティー障害と言います。
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「なんとなくいごこち悪い…」がパーソナリティー障害といえるための条件
とはいっても、「なんとなくいごこち悪い…」と感じることが多い人のすべてがパーソナリティー障害というわけではありません。
パーソナリティー障害といえるためには、次のような条件に当てはまる必要があるのです。
パーソナリティー障害といえるための条件
- 本人がとても苦しんでいる
- 20代前半までに発症している
- たまにそうなるのではなく、常にそういう状態である
これらの条件を満たすと、パーソナリティー障害にあてはまります。
あまりに極端な個性でも、それが家族や職場で受け入れられて、本人も別に苦しんではいないならそれは障害ではないですよね。
またその人の個性がもうできあがったといえる成人期を過ぎてから発症した場合は、個性ではなく別な問題だと考えられるのでパーソナリティー障害とは考えません。
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パーソナリティー障害の種類と特徴
上でも見ましたが、パーソナリティー障害には反社会性パーソナリティー障害(サイコパス)以外にも、次のようなものがあります。
パーソナリティー障害のさまざまな症状
- 回避性パーソナリティー障害…自分を否定されるのが嫌で人をまったく避けてしまう
- 妄想性パーソナリティー障害…人に襲われたり騙されたりする気持ちが晴れない
- 強迫性パーソナリティー障害…とあるものごとについてこだわりが強すぎる
例えばよく知られている「潔癖症」も実は「清潔さ」に関してこだわりすぎるため強迫性障害というもののひとつです。
これもある程度までは単なる「きれい好きな人」と変わりませんが、以下のような条件に該当するレベルになると、「パーソナリティー障害の一種」と考える必要があります。
「きれい好き」と「潔癖症(強迫性パーソナリティー障害)の違い
- 小さいころからずっと潔癖症である
- 清潔さが気になりすぎて胃が痛くなる
- イライラしすぎてしまい職場で仕事が手につかない
きれい好きも、くらいのレベルになると強迫性パーソナリティー障害と考える必要があるということですね。
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サイコパスはパーソナリティー障害の一種
このように、いろいろあるパーソナリティー障害のひとつである、「反社会性パーソナリティー障害」にあてはまる人を、「サイコパス」と言います。
もう少し正しく言うと反社会性パーソナリティー障害の中にサイコパシーというもうひとつ細かい分類があって、そこに属しているとサイコパスになります。
(むずかしく感じる方は反社会性パーソナリティー障害=サイコパスと考えてもらって構いません)
サイコパスの特徴と見分け方
サイコパス(反社会性パーソナリティー障害)の人の特徴についてみていきましょう。
次のような条件に該当する人は、サイコパス(反社会性パーソナリティー障害)である可能性があります。
サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)の人の特徴と見分け方
- ①感情が薄い
- ②倫理観や道徳観念がない
- ③自己中心的
- ④能力が高い
- ⑤洗脳行動をする
以下、順番にくわしく見ていきましょう。
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サイコパスの特徴①:感情が薄い
サイコパスの人は、他人に共感するということが極端に苦手です。
自分以外の人間の喜びや悲しみ、幸せといった感情を感じとることが苦手ということですね。
この特徴は、他の特徴と密接な関係があります。
サイコパスの特徴②:倫理観や道徳観念がない
倫理観や道徳観念とは、簡単にいうと「こういうことは人間としてやってはダメだ」という感覚のことですね。
サイコパスの人は、こうした人間として当然のルールに興味がありません。
まわりに反抗するためにあえて破る、といったことではなく、「破ったらダメだ」という意識すらない場合がほとんどです。
まさしくこれが「反社会性」と言われる理由でもあり、サイコパスの行動にもつながっていきます。
※繰り返しになりますが、サイコパス=反社会性パーソナリティーです。
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サイコパスの特徴③:自己中心的
他人の気持ちがわからず、ルールも守れないとなると、人間関係の中では当然ながら孤立してしまいます。
ただ、サイコパスと言えども幸せを求める1人の人間であることは変わりませんから、わずかでも幸せを求めてサイコパスは何らかの行動をとることになります。
例えば死にそうなほどのどが渇いたときに、目の前に水を持った人が現れたら普通の人はまず「水をゆずってもらえないか」とお願いしますよね。
このような場合に、サイコパスはルールに興味がなく他人に共感もできないので、何はともあれ自分にとってベストな方法で水を得ようと考えます。
これと同じで、サイコパスの人がどのような行動で幸せを見出すかを考えるときに、「まわりの迷惑になる」とか、「こういうことは人間としてやってはいけない」という感覚はともないません。
そのため、一番確率が高いと思ったら、相手から暴力的に奪うこともいとわないのです。
そういう感覚で、幸せを感じづらい自分が少しでも楽しいと思えることを探すので、とても危険です。
サイコパスは享楽的で、手段を選びません。
水のように、幸せや楽しみがないと人は生きていけませんから。
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サイコパスの特徴④:能力が高い
サイコパスは、特定の分野の作業では、とても高い能力を発揮することがあります。
サイコパスは人間関係に喜びを見出すことができない分、その他のことで幸せと楽しさを探しており、それを手に入れるためには手段を選びません。
つまり、自分にとっての幸せと楽しさを手に入れる能力が非常に高いのです。
サイコパスは普通のことでは幸せを感じることができないので、より過激な行動をとることがしばしばあります。
例えば、人を操ることで、自分は人より上位の存在である(より存在価値がある)として幸福感を得るなどです。
人が自分の思うがままに行動するのを見る度に快感を覚える、ではより人を操作できるようになるためにはどうすれば良い?と考え、サイコパスは非常に高いコミュニケーション能力や社交性を身に着けることがあるのです。
人を操るためには、他人に「この人はサイコパスだ」と見抜かれてはまったく意味がありませんから、サイコパスは表面上はとても魅力的な人物を演じることが多いです。
その延長線上で能力も高く、頭も良いことが多いのです。
このような理由から、一目見てサイコパスだと見抜けることはまずないといえるでしょう。
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サイコパスの特徴⑤:洗脳行動をする
サイコパスは他人を操ることに快感を見出すことが多いですから、相手を洗脳しようとする行動をよくとります。
精神分析の専門家である精神科医ですら、サイコパスと結婚して洗脳されてしまったという事例が過去にあります。
一度サイコパスに目をつけられてしまったら逃げることは難しいでしょう。
もし幸運にも身近な人がサイコパスであると気付けたなら、早急にその人から距離を置くべきです。
サイコパスに洗脳されることは、大体の場合は自分の幸福にはつながらないからです。
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サイコパスの別の言い方は?
サイコパスの別の言い方(類語)としては、反社会性パーソナリティ障害という言い方があります。
非社会性パーソナリティ障害という言い方も同じ意味で、英語ではASPD・DPDという風にいわれることもあります。
英語でサイコパスを表現する場合の言い方
- ASPD=Antisocial Personality Disorder
- DPD=Dissocial Personality Disorder
サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)は、自己愛性パーソナリティ障害と混同されることも多いですが、
自己愛性パーソナリティが「自分は優れている→自分のために人を使役しても良い」という風に考えるのに対して、
反社会性パーソナリティ障害は、「自分が楽しみたい→そのためなら人を使役しても良い」というように考える傾向がある点で違いがあります。
反社会性パーソナリティ障害とサイコパスの違い
反社会性パーソナリティ障害(ソシオパス)とサイコパスは、ほとんど同じ意味の言葉として使われています。
ただし、ソシオパスが生まれた後の後天的な影響によって発症する精神障害であるのに対して、サイコパスは先天的(生まれつき)の性質としてとらえている研究者もいます。
サイコパスの治し方は?
結論から言うと、サイコパスの治療は非常に難しいといわれているのが現状です。
サイコパスの原因として、先天的な要因や心理的な要因、教育を受けた環境などが相互に影響しあっていることが考えられるため、「これを強制すれば治癒する」という決定的なものが見つけにくいためです。
それでも考えられる治療方法として、行動療法というものが考えられますが、サイコパスは「権威」というものに対しての拒否反応が非常に強い傾向がありますから、治療者との信頼関係の構築が必須である行動療法では治癒が難しいと考えられています。
近年研究されているサイコパスの治し方として、「同じサイコパス同士で意見交換をしあう」というものがあります。
行動療法には上でも見たように「治療をしようとするものから受ける動機付け」が非常に重要な役割を演じるところ、自分と同じ症状を持った人同士であれば動機付けがしやすいと考えられるためです。
その他の治療方法としては、サイコパスの症状を持つ本人ではなく、その家族への支援を通して間接的に本人の性格改善を期待する方法なども試みられています。
「サイコパス」という言葉の語源
サイコパスという言葉の由来や語源についても理解しておきましょう。
サイコパスは「心、精神、生命」を意味する「プシュケー」と、「苦しい状態、病」を意味する「パセイア」というギリシャ語に由来した言葉からきています。
なので直訳すると心の病、といった感じになりますね。
現代では、実際に広く心の病を表す「精神病」という言葉にはサイコシスという言葉が割り当てられているので、
現在は語源通りの意味ではありません。
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サイコ、サイコパスという言葉の使い方について
サイコパスは精神障害を持つ人ですから、精神医学的には病人です。
元々サイコパスという言葉が広く知られるようになったのは、ヒッチコックの名作ホラー英語「サイコ」によるものが多いと言われています。
世間がサイコパスを興味半分で面白おかしく騒ぎ立てて広まったという一面もあるということも覚えておきましょう。
また単にサイコと言う場合にはそれだけで精神障碍者を指す言われていますが、これも俗っぽく蔑視的なニュアンスを含んだ言い方で専門家は使いません。
治療に励む精神障碍を持つ人で、他人から自分がサイコと言われて良い気持ちになる人は居ないからです。
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まとめ
今回は「サイコパス」という言葉の意味について、主に精神医学の観点からお伝えしました。
サイコパスはその強烈な個性と、あなたを洗脳するかもしれないという危険から話題性を得て広まりましたが、
その実は人よりも重い生きづらさを抱えた人間なのです。
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