視線恐怖症とは、その名の通り「他人からの視線に極度の不安を感じる症状」のことです。
単なる自意識過剰とは違い、軽度なものだと年中マスクが離せなくなり、また重度になると人目を恐れて外出しなくなってしまうこともあります。
この記事では視線恐怖症の原因と克服方法について解説しますので、「ひょっとしたら自分もそうかも…」と心当たりのある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
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視線恐怖症とは何か?
冒頭でも見た通り、視線恐怖症とは「他人からの視線に対して、恐怖や不安を感じる症状」のことを指します。
街中で人とすれ違う時に見られたり、電車で向かいの席に座っている人と目が合うのが苦手…という方は少なくないと思います。
軽度では単に「人と目線をあわせるのが苦手」というだけで済みますが、症状が重症化してしまうと、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
他人の視線に極度のストレスを感じ、自宅からが出ることも難しいという状況にある場合、視線恐怖症を疑ってみる必要があるでしょう。
視線恐怖症は、具体的な症状別に次の4つに分類されます。
- ①自己視線恐怖症:自分の視線が他人に不快感を与えているのではないかと感じる場合
- ②他者視線恐怖症:他人からの視線を極度に恐れる場合
- ③正視恐怖症:他人と至近距離で目をあわせることに極度に恐れる場合
- ④脇見恐怖症:これは逆に、他人に過度に視線を向けてしまう症状。本人はみようと思ってないのに、相手に目線を向けてしまう状態をいう
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視線恐怖症の原因
次に、視線恐怖症の原因についてみていきましょう。
視線恐怖症の原因は、大きく分けて幼少期~青少年期の教育環境と、本人の先天的な性格の点があげられます。
- ①幼少期~青少年期の教育環境
- ②本人の先天的な性格
以下、順番に説明します。
視線恐怖症の原因①:幼少期~青少年期の教育環境
そもそも日本人は、この視線恐怖症の症状が出る人が多いといわれています。
これは、日本の社会では「自分のことよりも他人のこと」「まわりと違うことをしてはいけない」という教育が重視されることが多いことが原因と考えられます。
このように、特定の社会環境で発症しやすい精神障害のことを文化依存症候群と呼び、視線恐怖症もこれに該当するのです。
他人と違うことをしてはいけないという環境下で幼少期から育った人の場合、青少年期~青年期には他人から監視されているという強迫観念を持つことが少なくありません。
その一つの表れとして「他人の視線を極度に恐れる」という視線恐怖症の症状が見られることがあるのです。
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視線恐怖症の原因②:本人の先天的な性格
視線恐怖症に限らず、恐怖症というものは、本人の性格に大きく影響を受ける病気です。
例えば恥ずかしがりや怖がりなど、控えめであまり主張をしないタイプは不満を抱えやすく、周りの目をきにするので視線恐怖症になりやすい傾向にあります。
両親や先生のご機嫌をうかがうような傾向がある子どもは、本人も自覚しないうちにストレスをためてしまう可能性があります。
時には、だれからの指示も受けずに遊ぶことや、その子供自身の自由な意見を尊重してあげる環境作りが大切といえるでしょう。
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視線恐怖症を克服する方法
視線恐怖症は精神的な症状のため、風邪や怪我等の肉体的な症状とは違い、長期的な治療が必要です。
また、確実に治る方法が無いことから、どちらかというと「治療」よりも「克服する」と言った方が正しいかもしれません。
つまり、症状を根絶することを目標とするのではなく、症状とうまく付き合っていくという視点で克服方法を考えていくのが適切です。
恐怖症の症状克服の目的は社会生活を送れるようにすることですから、本人がストレスなく症状と付き合っていけるようになれば、症状をまったくなくしてしまおうと考える必要はないというわけです。
以下では、視線恐怖症を克服するための具体的な方法について解説しましょう。
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自力で治す?専門医の受診?
心の病気でもある視線恐怖症は自力で克服することも場合によっては可能です。
認知行動療法では、「自力で視線恐怖症を治すための方法」として、自己教示訓練という方法が使われることがあります。
自己教示訓練とは、ごく簡単にいうと「自分自身をちょっと離れた場所で見ているもう1人の自分がいる」とイメージしながら、自分で自分に指示を与えて行動を強制していく方法です。
例えば、上で見た①自己視線恐怖症の場合の自己教示訓練では、次のように自分自身に声掛けをしてみるのが効果的とされています。
- 「自分が相手に視線を送るのと同じように、まわりの人も自分に対して視線を送っている。自分が他人の視線に影響を受けないのと同じように、自分の視線も他人に影響は与えない」
- 「視線を送るだけでは、相手に対して何も嫌な思いをさせることはない。悪口を言うことや、暴力をふるうこととと、視線を送ることはまったく別物である」
- 「他人は自分のことをそれほど意識していない。自分に視線を送られたことや、自分に対して視線を送ったことなどすぐに忘れる」
※参考:生月誠・田上不二夫「視線恐怖の治療メカニズム」(教育心理学研究 2003年)
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自己教示訓練の他に、視線恐怖症を認めたくない自分をしっかりと自覚したり、視線を向けられているときの意識を相手の服装やメイクなどに向けることで意識をそらす等の方法があります。
ただし、これらは一見簡単そうに見えますが、頭で理解していても心が理解していない場合がほとんどです。
克服しようとがむしゃらに行うと、返って症状を悪化させてしまう可能性もありますので、専門医のサポートを受けて徐々に克服していくのもひとつの手でしょう。
服薬による精神安定
視線恐怖症のような精神的な症状の場合はデパス錠などの緊張状態を解す錠剤が処方されます。
しかし服薬によって症状が改善することに依存してしまうと中毒にもなりかねませんので、薬剤師から指定された用法・容量を守らなければなりません。
さらに症状は改善されるものの、視線恐怖症自体が完治するわけではないので服薬で症状を抑えつつ別の方法で原因を克服していく必要があります。
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カウンセリングやリハビリ等の心理療法
専門医のカウンセリングで改善していく方法です。
カウンセラーと方針を話し合いながら経過観察するので長い期間がかかりますが、現在のところこれが一番有力な克服方法と言えるでしょう。
ひとりで方向もわからず進むよりは確実に克服へ向かうことが出来ます。
カウンセリングを受けるなら何科を受診する?
視線恐怖症の治療では、心療内科もしくは精神科の受診が望ましいです。
また、カウンセリングを初めて受ける場合は総合病院などの大きな病院へ行くのが良いでしょう。
というのも大きな病院は診療科や言語聴覚士・心理療法士などの設備や人材がそろっていて、自分に合った治療法を見つけることができるからです。
適切な治療を受けるためには、まずはしっかりとあなたの症状の原因を知ることが大切です。
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まとめ
今回は視線恐怖症について解説しました。
本文でも述べたように誰とでも簡単に繋がれる時代になったからこそ、他人を気にしすぎてしまう傾向にありますので、時には自分本意になることも大切なのではないかと思います。
視線恐怖症で悩んでいる方は参考にしてみてくださいね。
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