「遺憾」とは、簡単に言うと「こんなことが起きてしまって残念です」という気持ちを伝えたいときに使う言葉です。
たとえば、不祥事を起こした政治家や企業が「このようなことが起きてとても遺憾に思います」と言っているのを聞いたことがあると思いますが、なんともわかりにくい表現ですよね。
彼らがこの言葉を好んで使うのはなぜなのでしょうか?
この記事では、「遺憾」の意味についてくわしく紹介するとともに、使い方について例文をまじえて紹介します。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
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遺憾の意味と使い方
冒頭でも少し見たように、 遺憾とは「こんなことが起きてしまって残念です」という気持ちを伝える言葉です。
重要な点としては、「遺憾」には、「謝罪します」という意味がないことです。
ニュースで経営者や政治家が、「遺憾に堪えません」と言いながら頭をさげていると謝っているように見えますよね。
しかし、もともとの日本語の意味として、「遺憾」には「謝罪」の意味はありません。
そのため、政治家や企業が不祥事を起こしたときにはこの「遺憾です」という表現が好まれるわけです。
起こってしまったことに対して、ただ残念ですと言っているに過ぎません。
謝罪をしているように見えるけれど、実際には謝罪をしていないというわけですね。
謝ることは責任を取ること
たとえば、記者会見で事故や不祥事について質問されたとき、「謝罪」の気持ちがあれば「申し訳ございません。」ですよね。
しかし、政治家がこれをいうと、国の指導や管理に責任があることを認めたことになります。
もし謝罪をしてしまうと、「それなら法的な責任をとれ。損害を賠償しろ」と言われてしまう可能性があります。
そこで、いったん「遺憾」ということばを使って、とりあえず「残念な事態になってしまった」という気持ちだけ伝えているのです。
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国際問題で使われる「遺憾の意を表明します」の意味
中国の船が日本の領海などに入ってきたようなニュースでは、政府の担当者が「誠に遺憾です」というように相手の国に伝えることがありますよね。
この場合、「このようなことが起きて残念です」と相手に伝えているわけですが、「だからこうしろ」というように強い意思表示はしていないことに注目する必要があります。
例えば、中国の船が日本の領海に入ってきたら、本来は自衛隊の軍艦が撃沈しても国際法上は問題ありません。
しかし、日本では平和憲法という建前がありますから、実際にはこのような対応をとることは世論の反対もあってできません。
何もしないけれど「怒っているよ」ということを伝える言葉
そのため、「遺憾の意を表明します」といってとりあえず「怒ってますよ」という気持ちは伝えるものの、そこから何か具体的な行動はしないという状態をキープしているわけです。
もっとも、他国から本当に攻撃されるようなことがあれば自衛隊は戦うでしょう。
そのような場合には「遺憾に思います」といったような表現ではなく、「ただちに撃沈します」とか「自衛隊の艦船を出動させます」といったように具体的な表現がとられると思われます。
政治家が国際問題で使う「遺憾に思います」という言葉は、実際には何もしないけれど、ノーリアクションでいるわけにはいかないので、とりあえず気持ちを伝えるという意味になるわけですね。
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遺憾という言葉を使った例文
遺憾という言葉は、ニュースをはじめ日常生活、ビジネスシーンなどでよく使われています。
「え?こんな場面でも?」という意外な例文も多いと思いますので、参考にしてみてくださいね。
ニュースで見聞きする「遺憾」の例文
これはニュース報道などでよく耳にする表現ですね。
外務大臣は、〇〇国の発言に対して、非常に残念な発言で不快感を持っていると、公式に伝えたことになります。
同じ意味ですが、「遺憾の意に堪えません」と表現することもありますね。
「堪えません」のかわりに、「遺憾に存じます」「遺憾に思います」でもかまいません。
「誠に遺憾に存じます。」と強調することもあります。
経営者などが自社の内外で起こったことに対して会見を開いたとき、聞いたことがありませんか?
「誠に遺憾」と言うことで一旦は真剣に受け止めたと言っています。
もちろん、この言葉で経営者としてなにか意思表示をしたわけではありません。
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日常生活で使われる「遺憾」の例文
地域のスポーツ大会などで、主催者の挨拶で聞いたことがある言葉だと思います。
「残念な気持ちを残さないように〇〇を~する」というときに使います。
ここでは、心残りのないよう精一杯、日頃の練習成果を思う存分に出して下さいと言っています。
完成できなかったこと、達成できなかったことに対して、現在の残念な気持ちを強く伝えています。
この場合は、故人への弔辞等でよく使われます。
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ビジネス文書での例文
こちらは、お客様向けのビジネス文書で、顧客からの申し出や依頼を丁重に断っています。
会社の本音は「絶対無理」としても、ビジネス文書としては「遺憾ながら」とクッション言葉を使って柔らかく言っています。
意向に沿えないことを伝えるときに「できません」とストレートにつたえるとカドが立ちますから、「遺憾ながら~」とクッション言葉を入れてやわらかく表現しているわけですね。
なお、「遺憾ながら」は、「残念ながら」「遅ればせながら」などで使う「ながら」と同じ使い方です。
ビジネス上の取引先からの返答などに対して、まずは「誠に遺憾」と宣言しています。
返答の内容に不満を示しています。
ビジネス文書としては、このあとに再度こちらの要望を述べる文などを書きます。
上記の例文と、言い方は異なりますが伝えたい内容は一緒です。
「遺憾の意を表する」と伝えることで不満足、不快感を示しています。
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まとめ
今回は、遺憾という言葉の意味や使い方について解説しました。
本文で紹介しましたが、日常でもビジネスでも、こちらの残念な気持ちを伝えるときによく使うことばとしてぜひ覚えておいてください。
ただし、謝罪の意味はないので、間違って使わないようくれぐれもご注意ください。
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