「好きな人とのセックスで、一度も本当の気持ちよさを知らないまま演技を続ける女の子」──この切なくもどこか歪んだ前提が、『彼のお父さんのぬくもり』という作品の全てを物語っています。ミカちゃんは彼氏のミキオくんを心から愛し、将来を誓い合う純粋な恋人同士。しかし、彼との営みではどこか物足りなさを感じ、ついに一度も頂点に立ったことがないという秘密を抱えています。そのもどかしさ、純愛の裏側にひそむ不完全燃焼の情熱が、この物語に最初から張り詰めた緊張感を与えています。
そして、その歪みに気づき、辛辣に、しかし的を射て指摘するのが「彼のお父さん」です。無精髭のイカつい男。玄関で初めて会った時から、ミカちゃんの豊満な身体を舐めるような視線を送っていたあの大人の男。NTR作品において「竿役」の存在感と描写は作品の成否を分けると言っても過言ではありませんが、本作の父親はまさに理想的な「汚いおっさん」の系譜に連なるキャラクターでしょう。ただキモいだけではなく、そこに野獣のような性欲と、相手の弱みを見透かす狡猾な観察眼が宿っています。読者は、この父親のギラついた瞳を通じて、純愛のカップルが崩れていくスリリングな過程に没入することができるのです。
転機は、ミキオくんが留守の部屋での二人きりの時間。父親はミカちゃんの核心をえぐる言葉を投げかけ、そして自身の「巨大ペニス」を露わにします。彼氏とのものでは満たされなかったミカちゃんの心と身体は、この圧倒的な存在感の前に動揺し、「つい考えて」しまう自分に気づきます。ここから始まる「気持ちよくイクための練習」は、単なる凌辱ではなく、彼女の中に眠っていた未知の快楽への目覚めの儀式です。演技だったイキ声は、巨根によるポルチオ直撃によって本物の絶叫へと変わり、彼女は「イキ狂う」ことでしょう。純愛(ビフォー)が、背徳的で激しい肉欲(アフター)へと変容する瞬間の、官能的なまでのコントラスト。これこそが作者ピポ氏が本作に込めた真骨頂、「ネトラレビフォーアフター」の醍醐味なのです。
愛する人への後ろめたさと、抑えきれない肉体の歓喜。この二つがせめぎ合う少女の心情こそが、NTRジャンルの深いエロスを構成します。本作は、そんな読者の欲望に見事に応え、絵の力で確かな興奮へと導いてくれる一冊です。