「コンプラ違反」という言葉が、なぜこれほど甘美に響くのだろう。ウチガワが描く、大人の純愛と背徳が交差する『部下の喘ぎを想像するな-after-』は、まさに「やってはいけないこと」の興奮を極限まで昇華した一作だ。飲み会の席、下世話な話題をたしなめる真面目な課長。その隣にいるのは、一見地味で無口な部下のOL・丹波昴。そんな彼女がこぼした「女だって風俗くらい行くのに」という一言が、すべての始まりだった。
物語は、二人が恋人同士になった「アフター」から幕を開ける。関係はできた。だが、あの日の、彼女が語った「女性向け風俗」の詳細が、課長の脳裏を離れない。彼女はなぜ、あんなにも赤裸々に、あの世界の楽しさを語ったのか? その答えは、彼女自身からの予想外の提案として返ってくる。「…今日は、私がそのお店の人みたいに、課長を癒してあげましょうか」。
ここからが本作の真骨頂だ。彼女はただの受け身ではない。一転して積極的で、少しずつ上司を自分のペースに巻き込んでいく「誘う女」に変貌する。オイルを使った全身のマッサージは、単なる前戯ではない。彼女の指先が丹念にほぐすのは、固くなった筋肉だけではない。課長の理性も、社会人としての殻も、ゆっくりと解きほぐされていく。視覚的にも、スレンダーながらもたわわに膨らむ胸の谷間や、くびれとの絶妙なバランスが丁寧に描かれ、読者の視線をも釘付けにする。
「真面目そうな丹波さんの、内に秘めた色気にやられました」という読者の声があるように、この作品の最大の魅力は、ヒロインの二面性にある。普段は控えめな後輩が、二人きりの空間ではどう猛なまでの性的好奇心とサービス精神を解放する。そのギャップが、背徳感を何倍にも膨らませる。彼女は「お見通し」で、こちらの興奮を冷静に、しかし確実に煽ってくるのだ。フェラチオを含む濃厚なプレイは、単なる肉体的快楽の描写を超えて、互いへの深い信頼と「もっと知りたい」という欲望がにじみ出るイチャラブの様相を帯びている。
終盤、すべての区切りが外れた「ナマ」の結末は、積み重ねられた官能の当然の帰結として訪れる。これは単なる社内不倫漫画ではない。禁断の関係に足を踏み入れた後の、より深い相互探求と、ためらいが消え去った恋人同士の、貪欲でどこか無邪気な愛の形を描く物語だ。大人の男と女の、言葉にならない欲望と、確かな愛情が交わる瞬間を、存分に味わってほしい。